二日遅れのバレンタインは、あいにくの雨模様。
霙のなかを、楽器を気にしつつかじかんだ手に息をかけながらたどりついた会場は
暖かくて落ち着いた木のぬくもりに満ちたレストラン。
「さあ、音を出しましょう!始めないと、終わっちゃいますよ〜」
という、野沢健太郎さん(グラディート弦楽四重奏団・Vn)の一声で
まずは有志によるごあいさつがわりのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークで
にぎやかに幕が上がりました。
第3回大会は3部構成。
第1部は「愛の挨拶 メドレー」。
そう、エルガーのあの曲です。
なんでも結婚をした年に作られたそうですが、この曲のさまざまなアレンジに代わる代わる挑戦。
弦楽四重奏に始まり、
一番よく耳にするチェロ+ピアノ、
続いてフルート+ヴァイオリン+ピアノ、
ヴァイオリン×2+ピアノ、
ピアノの連弾、
そしてD-durの弦楽四重奏、
ヴァイオリン+ピアノ、
最後は一番よく演奏されるE-durの弦楽四重奏と、
数えてみたらなんと8つもの「愛の挨拶」。
聴き馴染んだメロディーも響きが変わればまた違った表情を見せるもの。
こうした弾き比べ・聴き比べもChamoreeならではと言えるでしょう。
さてさて第2部は特別企画「弦楽四重奏公開講座」。
Vnは東京交響楽団の立岡百合恵先生と、
元東京交響楽団で現在はフリーの濱田マサ子先生、
Vaは東京交響楽団主席奏者の武生直子先生、
そしてVcは我らが主宰・馬場隆弘先生と、
それだけでも十分すぎるほど豪華な講師陣に、
スペシャル・コメンテーターとして東京交響楽団コントラバス奏者で
洗足学園大学で教鞭をとっていらっしゃる菅野明彦先生を迎えての公開レッスンとなり、
3組のカルテットが受講をしました。
先ずはハイドンの「皇帝」一筋に取り組んでいるという「えんぺら〜ず♪」の皆さんが「皇帝」の1、2楽章。
2番手はその場で有志を募ってモーツアルトのディベルティメントKr136。
最後は東京音大弦楽四重奏団の皆さんがスメタナの「わが生涯より」第1楽章でそれぞれ受講をしました。
それぞれまずは通して演奏しそのあとでレッスンという形式でしたが、
わかりやすく、的確な表現でポイントを指摘。
さらに言葉だけでなく、アドバイスをしながらすぐ隣で実際に先生方が演奏。
しかもそれは模範演奏としてではなく、
一緒に同時にすぐ横で弾いて下さったのでした。
これには受講生も、そして聴講をしていた参加者も大感激。
響きや演奏方法、テンポの感じ方や間の取り方など、
まさに百聞は一見に如かず!
これに勝るレッスンはないでしょう。
熱心な先生方のアドバイスに、楽器を手にしていない人たちまでも我が事のように
驚いたり納得したりしながら引き込まれていました。
そして第3部はいつものChamboree。
初参加の北沢ご夫妻の「夢のあとに」と「白鳥」、
菅野先生と一緒にロッシーニ、
Vc4人衆でクレンゲルの小品に挑めば、
Va隊も負けじと(?)4人でどこか懐かしいロンドン・デリーを奏で、
そしてそして圧巻は「濱ちゃんカルテット(濱田・立岡・武生・馬場)」による「津軽海峡・冬景色」!
ヨコハマのレストランにいるはずなのに、
気分はすっかり吹雪の中の連絡船。
凍えそうなカモメまで見えた気がしてしまい、思わず涙が...
ということになったかどうかは定かではありませんが、
まさにプロフェッショナルの神髄がトリを飾ったのでありました。
もっともっと聴きたかったです。
時間の都合で残念ながら今回は弦セレは演奏できませんでしたが、
お料理もこれまでの中でお味もボリュームも最高で、
心もお腹も満ち足りた4時間でした。
帰る頃には雨も上がり、雪さえ混じっていたのがうそのように晴れて、
明るい月がかかっていました。
「自分が誤解してたことがはっきり分かってとてもためになった」
などなど、帰り道でも話が尽きることはありませんでした。
翌日早速、参加された方からこんな声が寄せられました。
「公開レッスンは受講している方は緊張しますけど
周りで見ていて、先生方のアドバイスひとことで
演奏がころっと変わったりするのを実感でき、
とても勉強になりました。
また講師の方々のコメントも平易な言葉で
判りやすくてよかったです。」
皆さんは、いかがでしたか?
この次は花の咲く頃、青空の下で楽しみましょう!